漫画×構造分析 『ONE PIECE』アラバスタ編を構造主義的に読み解く。3 ~31の機能分類 1~

●「機能」とは、登場キャラクターの「行動」のこと

前の記事では、アラバスタ編の登場キャラクターについて、
プロップの「7つの行動領域」に沿って当てはめた。
今回から数記事かけて、「31の機能分類」に当てはめてみる。

機能、というとキャラクターの特徴や役割を指すように感じるかもしれない。
その人物が物語の中でどんな役割を果たすか、という風に思いがちだ。
しかし、プロップのいう「機能」とは、登場人物たちの「行動」である。
例えば、継母に追い出された継子が、試練を乗り越えて褒美を得る。
あるいは、求婚者が王女の出した難題をクリアし、見事王女との結婚を果たす。
そういった、「誰が何をしたか」という行動について、見ていく必要がある。

実際、ビビは「王女」という肩書きを背負っているが、
前の記事でも述べたように、彼女は敵対者に加害され
自ら行動を起こす「主人公」である。
肩書きや見た目に惑わされずに、
そのキャラクターが起こした行動について注視していこう。

プロップが『昔話の形態学』で挙げた31の機能分類については、
Wikipediaの表記を借りることにする。

また、各機能を解釈する手助けとして、以下の文献も参考にしたので紹介しておく。
Amazon 『ストーリーメーカー 創作のための物語論』大塚英志著

なお、ひとつの物語がすべての機能を網羅するわけではない。
アラバスタ編のあらすじを時系列に沿って紹介しながら、
31の機能に当てはまるところは具体的に分析していくことにする。

●アラバスタ編発端までのあらすじ

アラバスタ編の主人公・ビビが、
バロックワークスに潜入するまでを、時系列に沿って見ていこう。
ややこしくなるので、現在連載中(2年の修行後)ではなく
アラバスタ編時点(=ルフィ17歳)を基準にする。

・?年前 七武海クロコダイル、ニコ・ロビンとともに
     バロックワークスを結成。その目的は、
     当初から「ポーネグリフ」だった(第41巻第398話)
・3年前 首都アルバーナ以外で雨が降らなくなる
・2年前 港町ナノハナにて「ダンスパウダー」が見つかる
     (第18巻第161話)
・2年前 ビビがイガラムに調査を明じた結果、
     バロックワークスが関与している可能性が浮上
     ビビとイガラムは潜入を試みる(第23巻第215話)
・?年前 ビビはミス・ウェンズデー、イガラムはMr.8として
     ウイスキーピークに派遣される。
     水面下にてミス・オールサンデーを尾行し、
     ボスであるMr.0の正体を突き止める。

漫画本編では回想シーンとして折々に挟まれているが、
ビビが「主人公」として出立するまではこのような時系列となっている。
それでは、どのような機能で構成されているか、分析してみよう。

●クロコダイルの狙い
――機能その6「悪計(策略)」、機能その7「幇助」

なぜ秘密犯罪会社バロックワークスが誕生したのか。
黒幕クロコダイルの真の狙いは、
古代兵器「プルトン」について記されたポーネグリフだということが
第21巻第192・193話で明らかになる。
これは、機能その6「悪計(策略)」および
機能その7「幇助」に当てはまる。

★機能その6.悪計(策略)
  :敵は犠牲者またはその持ち物を入手するために、相手をだまそうとする
★機能その7.幇助
  :犠牲者はだまされて、相手に力を貸してしまう

ここでいう持ち物とは、古代兵器プルトンあるいは
プルトンについて書かれたポーネグリフのこと。
そして、犠牲者とはアラバスタ王国の民衆とコブラ王のことだ。
第17巻155話によると、クロコダイルは七武海として
他の海賊の略奪からアラバスタの民衆を救っている。
それを「表の仕事」と自嘲しているように、
彼は七武海という地位を隠れ蓑にしてコブラ王ひいては
アラバスタ王国全体をだましていたのだ。

敵対者が「悪計」のために民衆をだます(幇助)という構図は、
『ONE PIECE』ではたびたび登場する。
例えば、ウソップが仲間入りを果たしたシロップ村編。
シロップ村編における敵対者は、海賊キャプテン・クロ。
彼は、ウソップの幼馴染である令嬢カヤの執事として、
身分を偽り財産と平穏を手に入れようとしていたのだ。
クロの場合は、その目的がチンケすぎて小物感満載だったが、
アラバスタ編のクロコダイルが狙っていたのは、
世界に通用する軍事力。敵対者としての器がありすぎる。

古代兵器については、その全貌がまだ明らかになっていない。
本編で明かされるのが楽しみだ。

●主人公の動機
 ――機能その8「敵対行為」、機能その11「出発」

クロコダイルによるこれらの行動によって、
国を愛する王女ビビは深く傷つき、自ら行動を起こそうとする。
これが、機能その8「敵対行為」と機能その11「出発」に該当する。

★機能その8.敵対行為
  :敵が家族のひとりに、害や損失をもたらす
★機能その11.出発
  :主人公は家を後にする

敵(=クロコダイル)が家族(=アラバスタ王国)に加害する。
雨を奪い、ダンスパウダーをちらつかせることで
王家に疑いを抱かせるように仕向ける。
巧妙な工作活動によって、コーザは反乱軍を結成する。
王家と反乱軍の衝突こそ、ビビが最も恐れる事態なのだ。

プロップは、魔法昔話では主人公が「欠如」している状態から
物語がスタートすると分析している。
「欠如」は、物語を動かす動機となる。
例えば、宿敵に家族を殺された主人公が復讐の旅に出るのも、
敵対者の加害によって家族を失った(欠如した)ケースだ。
敵代謝の加害によらずとも、もともと持っていない場合もある。
貧乏だったり、嫁取りだったり、主人公の動機はさまざまだ。
第22巻第204話のルフィのセリフが、加害による欠如を裏付けている。
「おれ達がこの島に来た時にはもうとっくになかったぞ……!!
 あいつの国なんて……!!」
アラバスタ編は、失った王国を取り戻すためにビビが奮闘する物語なのだ。

~31の機能分類2 へつづく~

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