漫画×構造分析 『ONE PIECE』アラバスタ編を構造主義的に読み解く。5 ~31の機能分類 3~

●アラバスタ上陸 ナノハナ~エルマル~ユバへ

ウイスキーピークを出た後、ビビと麦わらの一味は
・リトルガーデン
・ドラム王国
・Mr.2ボン・クレーとの出会い を経て、
ようやくアラバスタ王国へたどりつく。
リトルガーデン編およびドラム王国編を通して、
ビビの人柄や王女としての素質などが描かれている。
島から島へ渡りながら物語が進む海賊モノらしい展開は
他のエピソードにはない魅力だが、
アラバスタ編のメインストーリーとは直接関係がないので
この記事では割愛する。

・ナノハナ
一行は、まず港町ナノハナへと上陸する。
ナノハナでは、ルフィの兄エースとの出会いというビッグイベントも発生し、
ローグタウンから追いかけてきた海軍にも追われることになる。
・ユバ
枯れた町エルマルにゴーイングメリー号を停泊させ、
一行はオアシス・ユバを目指す。
そこでは、ビビの幼馴染であるコーザの父・トトが
枯れたオアシスを掘り続けていた。

●仲間の印――機能17「照準」

アラバスタ王国に上陸する直前、
麦わらの一味はMr.2ボン・クレーと出会う。
敵対関係と知らぬまま小さな友情を育む、
ギャグ満載の楽しいシーンだ。
しかしこの出会い、実はアラバスタ編において
かなり重要なターニングポイントだと考える。

★機能17.照準:主人公が狙われる

プロップが分析した魔法昔話においては、
敵対者が主人公に直接傷をつける場合もあれば、
姫が主人公に印をつける場合などもある。
前者は戦いによる傷、後者は目覚めさせるなどの治療の痕だ。
『NARUTO』のうずまきナルトが、九尾をその身に宿しているのも
ある意味では傷、そして強大な力を狙われる「照準」に違いない。

敵対者(クロコダイル)側のMr.2ボン・クレーは、
マネマネの実の能力によってルフィたちの顔をコピーする。
これも、後の戦いに影響する「照準」といえる。
実際、反乱軍を止めきれなかったビビの前には
ウソップの顔をマネたMr.2ボン・クレーが現れたし、
サンジはナミの顔をマネたMr.2ボン・クレーに
コテンパンにやられてしまう。

アラバスタ編における「照準」はこれだけではない。
Mr.2ボン・クレーへの対抗策として、
一味は腕に二段構えの印をつけた(第18巻第157話)。
これも「照準」といえるのではないだろうか?
Mr.2ボン・クレーとあのタイミングで出会ったのは、
拳を掲げるあの名シーンへとつながる、
超重要な仕掛けだったと考えられる。

この機能17「照準」は、前の記事で少し触れた
機能23~28とも密接にかかわっている。
魔法昔話では、一度迫害され追跡された主人公が
その正体を明かす過程でも「照準」が役立つことがあるそうだ。
確かに、姫を助ける際に負った傷によって、
本物の英雄であることが証明されるというパターンもままある。

しかし、そう考えると少し胸がときめく。
機能17の「照準」によって、機能29の「暴露」が成り立つ……
となると、腕につけた仲間の印(=照準)によって暴かれるビビの真の姿は、
“アラバスタ王国の王女”ではなく、
“海賊・麦わらの一味の一員”とも深読みできなくもない。
第82巻第823話では、世界会議(レヴェリー)に向けてビビが再登場している。
今後の展開も気になるところだ。

●砂vs水――機能14「調達」

話をアラバスタ編に戻そう。
ナノハナ、エルマルを経て一味はユバにたどりつく。
過去の記事でも紹介したが、ルフィはユバで
敵対者クロコダイルを倒すためのキーアイテムを手に入れる。
それこそが、機能14「調達」である。
重要なアイテムを入手するまでには機能12および13も通過する。

★機能12.寄与者の第一の機能:主人公は試練をうけ、魔法の手段または助手を授けられる
★機能13.主人公の反応:主人公は将来の寄与者の行為に反応
★機能14.調達:魔法の手段を主人公は手に入れる

スナスナの実の能力者であるクロコダイルは、
砂に変身することで物理攻撃を無効化するロギア(自然)系。
砂を倒すためには、「水」というキーアイテムが必要だ。
能力者にも弱点がある、という新たな視点を持ち込んだ
画期的な戦いともいえる。
ルフィにキーアイテムを与えてくれる贈与者(寄与者)は、
枯れた町ユバで一人水を掘り続けるトトだ。
プロットによると、魔法の手段を授かるためには
試練が必要とのことだが、ユバに至るまでには
試練らしい試練は描かれていない。
あえて言えばそれまでずっと砂漠の中を歩き続け、
一晩かけて砂を掘り続けたことだろうか。
このキーアイテムは、はじめはコップ一杯ほどの水だが、
その後ルフィはタル一杯の水を使い、
最後の戦いでは自らの「血」を武器にクロコダイルと戦う。
ルフィの度重なる敗北、苦戦し勝利する展開が熱い。

多くのRPGでも、重要なアイテムを手に入れるまでには
さまざまなイベントをクリアしなければならない。
奥義を体得するために師匠と命がけの手合わせをしたり、
伝説の剣を手に入れるために町はずれに巣くう魔物を倒したり……
プロップによれば、贈与者(寄与者)は善意の人とは限らず、
主人公に倒されてアイテムを落とす魔物もある意味では贈与者だという。
その意味では、ルフィを傷つけ大量の血を流させたクロコダイル自身が、
意図せずしてキーアイテム(=血)を与えてしまったともいえる。

●魅力的な生き物たち
――機能15「道案内」

尾田栄一郎氏は、クリーチャーデザインにも定評がある。
原作者がはじめて製作総指揮を務めた映画『STRONG WORLD』でも
その魅力が存分に発揮されていた。
アラバスタ編においても、さまざまな動物・生き物が登場した。
アラバスタ王国において神聖な生き物とされる海ねこや、
砂漠の途中で荷物を根こそぎ盗んだワルサギなど、
特にストーリー上必要ない場面でも描かれている。
尾田栄一郎氏の遊び心なのかもしれない。

もちろん、重要な動物キャラクターも多い。
ビビの相棒であるカルーはもちろん、
ラクダのマツゲやヒッコシクラブのハサミなどは
都市間の移動に役立っている。
それこそが、機能15「道案内」に当てはまる。
RPGの金字塔・ドラクエシリーズでいう、ラーミアや旅の扉の役割だ。

★機能15.道案内(二つの王国間の広がりのある転置)
:主人公が探しているもののある場所に、運ばれ、つれて行かれる

ラクダのマツゲは、エルマルからユバへの途中で出会う。
その後も一味に同行し、コミックス第22巻では
ちゃっかり表紙にも登場している。
ヒッコシクラブのハサミは、チョッパーが連れてくる。
レインベースから首都アルバーナへの移動に役立った。
ルフィに弟子入りしたクンフージュゴンたちもその道中で一味を助ける。
この機能は、物語のスケールを広げるためには重要だ。
魔法の移動手段によって短時間で複数の都市をまたぐことで、
物語の舞台を広く使えるようになるのだ。

~31の機能分類 4 へつづく~

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