食への感謝が生きる事への感謝へ、事業のアイデア探しは少しづつ 【レビュー】 銀の匙 Silver Spoon 第98話

子豚を見て「ウマそう」

エゾノーの連中は子豚を見ると可愛いじゃなくてウマそうと感じるわけです。都会から入学した八軒はこれに対して入学当時全く慣れなかったのですが、いろいろな出来事があり今週では「想像しただけでヨダレを垂らす」ほどになりました。逞しくなりすぎじゃないか?八軒くん。

スーパーでパックに入ってるのが肉

一般人の感覚で言うとスーパーでパックに入っているのが肉で牛や豚は動物です。しかし畜産のプロから見るとそれは違うようです。生き物を殺して人間は生きているという事をこの作品は繰り返し訴えています。

食への感謝が生きる事への感謝へ

そこには強いメッセージがあります。他の生き物を殺して食べるのだから、食べ物には感謝しないといけない。従って自分の生は沢山の生き物の上に存在するものであり、生きている事への感謝につながっていきます。銀の匙はそういった人間の生の本質に迫るようなテーマがあると思います。

黒豚可愛い

それにしても今週出てきた黒豚はかわいかったです。紐なんかつけて犬みたいにしてます。将来はベーコンとかソーセージになってしまうのかと思うとなんか悲しい。いや、もう、そういうので一喜一憂してたのは遠い昔ですね。今では八軒にとっては立派な食材です。

事業のアイデア探しは少しづつ

八軒の起業のアイデア探しが少しづつ少しづつ進んでいます。廃牛に価値を出せないかと言う話が出てきます。これはいいアイデアだと思いますね。

”一旦ダメ出しされた奴にも価値を付けてやりたいんだよな…”

これは八軒の台詞ですが、作者は非常に物語に緻密な計算をしていると感じました。

八軒自身も一旦ダメ出しされた存在

自分自身中学校の頃に一旦ダメになった八軒。そんな彼だからこそ「失敗」の烙印を押されたモノに注目できるのです。また注目する必然性があります。

それが事業のアイデアの根幹になるなら凄い

その八軒自身の人生体験がベースになり廃牛の様な価値の無いものを価値あるものに変えるビジネスを作り上げるなら本当に凄い物語展開です。営業活動の中での副産物や廃棄物を使って商売をする場合は元手は非常に小さくすみます。商品の原価は0に近いからです。どうせ捨てる物です。すると小さく始めやすい。

コネクティブドッツ

スティーブ・ジョブスの有名なスピーチで、「脈絡のない様々な人生体験(点)がある時急に繋がる事がある」という内容のものがあります。コネクティブドッツ。繋がる点というスピーチとして有名です。

八軒のコネクティブドッツが起ころうとしてる

エゾノー、勉強での挫折、父親との関係、母から与えられた鋭敏な味覚、兄の存在、駒場という友、様々な点が一つのビジネスモデルに繋がろうとしています。ちょっとゾクゾクしますね。これ作者が意識してやってるなら相当なもんです。とはいえ意識してると思う。

銀の匙 第99話 四季の巻② 予想

結びつくであろう点を更に描いていくと思いますね読者に思い出させるように。今週は駒場をさらっとリマインドする描写がありましたし。

-週刊少年サンデー 2014年16号 銀の匙 Silver Spoon 作者:荒川弘-

””は、小学館「銀の匙 Silver Spoon」 作者:荒川弘 から引用