歴史ファンを唸らせるディテール。 【レビュー】 銀魂 第490話

相変わらず歴史背景に対する知識が深い

 先週から引き続き桂が真選組に潜入している。彼は攘夷志士を次々と捕縛し隊中で相当な信頼を築き上げている。桂は長州系の攘夷志士の元締めみたいな人物だから当然誰がどこに潜んでいて何をしているかなどの情報を持っている訳だ。仲間を売ればいくらでも成果を上げることが出来る。しかし銀時から仲間を売っている事を指摘された桂は、仲間を売っていないという。どういう事かと言うと、自分が捕まえているのは攘夷志士を名乗る不逞浪士だと言う。

攘夷志士を名乗る只の犯罪者

 幕末、市中には攘夷志士を名乗っている思想のない、ほとんど盗賊の様な連中が大量に発生していた。彼らは無銭飲食や婦女暴行、血の気の多い者は深夜に辻斬に及んだりした。歴史の熱狂の中に紛れて本物の狂者がウロウロしていたのだ。実際の歴史の話だが、新撰組はそういった偽攘夷志士たちも取り締まっていた。京都において新撰組の人気が高かった理由には、治安を悪くするだけの偽者達を追い回していたという業務内容も関係している。

歴史ファンを唸らせるディテール

 今週の銀魂の話に戻る。本物の攘夷志士である桂にしてみれば偽の攘夷志士達は、自分たちの評判も落とす目障りなものだったから、真選組に潜入している内になるべく沢山検挙しておきたいと考えるだろう。だから、桂が偽物の志士達を嬉々として捉えていく事に不自然さはなく、彼にはそれを行うモチベーションと根拠があるわけだ。この見事なストーリー展開は銀魂の歴史に対する理解の深さが表れていて歴史ファンにとっても共感出来るものだ。

 個人的にぼくは幕末の歴史が好きなのでこういった細かい人物描写には、つい「ニヤッ」としてしまう。