八門遁甲というファンへの感謝。 【レビュー】 NARUTO -ナルト- 第673話

八門遁甲、第八門、死門開門という読者サービス

 八門遁甲を作中で最初に使用したのはリーだった。もちろんそれはガイから授けられたのだけど彼の技として登場した。初登場であるリーの中忍試験以来、第八門、死門を開門したらどうなるのか?というワクワク感は十年来、ファンが持っていた感情だった。とはいえ、術者が死ぬという性質上簡単に披露するわけにもいかない。戦闘力のインフレにより初期の技はどんどん価値が下がっていくという状態でもあった。それでも最後にちゃんと死門を披露したのはファンの気持を汲んだ作者のサービスだといえる。作者は作品完結前にちゃんと作中で死門を見せてくれたのだ。今まで読んでくれてありがとう。そういったメッセージが隠されている様に感じた。

ガイの八門遁甲によって描かれるキャラクター達

 ガイ対マダラによって、ガイの背景がまず描かれた。彼が父から受け継いだ熱い思いと八門遁甲という禁術。ロック・リーのルーツにも繋がる。我愛羅とロック・リーという重要キャラクター二人の見せ場をもう一度作りだしもした。カカシの父、サクモをもう一度登場させた事も良かった。

ナルトとサスケ

 作者は物語の全ての要素を使って最後にファンに感謝を伝えようとしている。ナルトとサスケという両雄がしっかりとマダラの前に現れるというのが今週の展開だった。彼らが身につけた力は作中で散々伏線を貼ってきたもので「六道仙術」「輪廻眼」など言葉を効くだけで名シーンが踊る様に思い起こされるものだ。要するに読者は思い出を脳裏に描きながら最後の戦いを楽しめるわけである。これは連載を長年追いかけてきた読者にだけ許された漫画史上でも類を見ない贅沢と言えるだろう。