秒速5センチメートルはBADENDなのか

新海誠監督の長編アニメ作品の3作目「秒速5センチメートル」。

初恋の二人が結ばれずにすれ違って終わることから、「バッドエンド」だという声もあります。その意見について考えていきます。

そもそも「結ばれる」でなければハッピーエンドとはいえないのでしょうか。

ラストシーンでタカキは、踏切を渡った後にアカリの存在が未だ強く心の中にあることを再認識します。そして強い視線を前に向けます。「君の名は。」で「すきだ」の文字を見た後の三葉のように、強い目です。

「初恋の素敵な記憶と共に生きる」

これは一つのハッピーエンドともいえます。

ではもし、タカキとアカリが結ばれ、初恋の相手同士で夫婦となったらどうなっていたでしょう。もちろんファンとしてはずっと幸せな二人でいることを願います。

しかし、生活を共にすることで、もしかしたら相手の嫌な一面ばかり見るようになってしまったり、当時とは違う感情、それも好ましくない感情が互いに芽生えてしまったりするかもしれません。

描写こそありませんが、アカリもタカキのことを強く愛おしく思ったままだと思います。そう考えると、素敵な初恋がそのまま壊れずそこにあり続けることは、十分幸福なのではないでしょうか。

ちなみに、初恋の相手と結婚するというケースはどれくらいあるのか。「初恋の人との現在の関係はどうなっているか」を20代~50代の人を対象に、ライフネット生命保険が調査しました。

結果、「配偶者・婚約者」と答えた人の割合は1%でした。初恋の人と結ばれる確率は100人に1人というデータでした。初恋が結婚までつながることは稀なケースであるとわかりました。物語の中で現実のデータを出すのは野暮かもしれませんが、初恋同士が結婚までいかなかったことで二人を責めたり嘆いたりすることはないと思います。

加えて「思い出に残っている人(どこで何をしているか知らない)」と回答した人は84%という結果でした。その中には苦い思い出のままの人もいると考えると、タカキやアカリ、少なくともタカキの心に光が差し込んだラストは、ハッピーエンドだと私は思います。

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