【レビュー】 信長協奏曲 第1巻 作者:石井あゆみ

信長協奏曲の第1巻をレビューしたいと思います。

物語の導入部で過去にサブローがタイムスリップする下りは何度読んでもあっさりしている感じ。
サブローの性格とか、いかに歴史に興味が無いとかがさらっと描かれているだけですぐに過去に行き、そこで顔がそっくりな信長と出会い、入れ替わります。

2巻で斎藤道三にある頼み事をされますけど、たぶんこのあっさり感だと元の時代には戻らないんじゃないかな。
加えて、1巻だけでも作中で2年くらい経ちますし2巻の桶狭間なんて10年以上後です。
後の巻に進めば進むほどどんどん年月が経っていくので元の時代に戻る展開はなさそう。夢オチ以外では。

さて、織田信長を題材にした作品はたくさんありますが、これもまたその内の一つです。
ただ、上記で述べたとおりこの作品は桶狭間の戦いの10年以上前から始まり1巻を終えてもまだ桶狭間の戦いまでいきません。

桶狭間の戦い以前の信長の話って歴史好きでもなければあまり知らないと思うんですよね。
例えば、柴田勝家は織田家の家督を争う信長の弟の信行側で信長と戦っています。
たいていみんなの知ってる柴田勝家は信長の部下としての印象で、敵対しているとかはないでしょう。
また、織田家は尾張一国全てを治めていたりもしません。
この巻の特に面白いところはそのあたりを描いているところでしょう。

そして、竹千代が可愛い。キュート。僕もえろすな本をあげたい。
もちろんこの子は後の徳川家康です。
竹千代の出番はあまりなく、すぐに人質交換で今川に帰ってしまうのが残念。もっと見たかった。
可愛いと言えば、帰蝶も可愛い。サブロー大好きな感じがほほえましい。帰蝶本人は信長が入れ替わったことに気付いていませんけど。

1巻の最後は平手政秀の死と秀吉の登場で締めます。
さてこの平手政秀の死と関わる一癖も二癖もある秀吉は今後どのように信長に関わってくるのでしょうか。

と、こんな感じで好き勝手に感想を書いてみましたが、信長好きや歴史好きの人にオススメの漫画です。
基本的に話が歴史通りに進んでいきますので、ifの話が苦手な人でも楽しく読めると思います。

 

【レビュー】 ヴィンランド・サガ 第14巻 作者:幸村誠

帝王クヌートとトルフィンの信念

国のためにクヌートは農場を接収しようと戦を仕掛けて来たわけですが、13巻で大勢は決し最早支配するのみという状況です。
楽園ヴィンランドを作ると決意したトルフィンは農場を去ろうとしていたのですが思いとどまります。

”ヴィンランドさえ平和なら他所がどうでもかまわないなんてそんな気構えじゃだめなんだ”

トルフィンはそういってクヌートとの和平交渉に望みます。

侠気のトルフィン

クヌートに会いに行くトルフィン。しかし簡単に会わせて貰えるわけがありません。
そこでトルフィンは自分は昔クヌートを警護していたと言いますが誰も信じません。

この時のトルフィンはクヌートのことを「王陛下」と尊称を用いています。
奴隷になる前の彼を想像すれば大変違和感のある言葉遣いで、時間の流れトルフィンの変化を強く感じさせます。
直接クヌートに対した時はどういった話し方をするのだろうと興味が沸きます。

戦うことを止めたとはどういうことか

トルフィンは昔クヌートの警護を任されていたという事を証明するために100発殴られて耐えるという選択をします。
警護を任されていたのだから強いはずだろう、強さを証明するために殴られるという理屈です。
戦って強さを証明する方法のが自然で、より証明になるはずですがトルフィンは戦う事をやめたのです。

トールズの魂がトルフィンを突き動かす

トルフィンは殴られながら段々と奴隷になる前の言葉遣いに戻っていきます。
痛みと披露で本来の自分が出てきたという感じです。そしてついに100発耐え切ります。

”オレに敵なんかいない”

そしてトルフィンはこう言いました。

”お前に敵などいない 誰にも敵などいないんだ 傷つけてよい者など どこにもいない”

これは父トールズが子供の頃のトルフィンに言った言葉です。
単行本2巻でのトールズの言葉です。

トールズの、本当の戦士の魂がトルフィンを動かし始めたのです。

クヌートとの停戦交渉

クヌートとの会談が始まりました。トルフィンは最初丁重な言葉を使っていますが、すぐに昔のトルフィンに戻ります。

そして撤退を要求します。しかしクヌートはその要求を飲みません。
クヌートはトルフィンに自分と戦うかと問います。
トルフィンは逃げるといいます。

14巻では徹底して戦うという選択を最後の最後まで取らないトルフィンの意思が表現されています。
戦うことを捨てるということはどういう事かという事を徹底的に見せつけます。

ついに故郷に帰ったトルフィン

ついにトルフィンは故郷に戻りました。久々にユルヴァ登場です。
驚いたのは彼女の夫がアーレだったという事です。アーレは単行本1巻、2巻あたりで出てくる人物です。
トルフィンの家の近所に住んでいてトールズとアシェラッドの戦いにも立ち会っていました。
その際にはアシェラッドの部下に突き飛ばされて歯を折っています。もちろん治るワケもなく今も前歯が抜けています。

アーレがすっかりおじさんになっている事とユルヴァとアーレの子どもたちが大きくなっていることによって、
随分と長い時間が立ったのだと感じます。そんなに長い時間人並みの生活から遠ざかっていたトルフィンが可哀想で仕方ありません。

ヴィンランド・サガ 15巻の予想

これからトルフィンたちはヴィンランドを目指して旅立って行くのだと思います。
故郷の人たちはひとまず連れて行かないでしょう。それからトルフィンの恋も始まるのではないでしょうか。
そろそろトルフィンは幸せになってもいいはずです。

-講談社 「ヴィンランド・サガ」 作者:幸村誠-

””は、講談社 「ヴィンランド・サガ」 作者:幸村誠から引用

 

オススメの幕末漫画3つ、龍馬も晋作も大活躍 「風雲児たち」 「おーい!竜馬」 「修羅の刻」

幕末という時代の動乱期は本当に面白い。

260年続いた江戸時代が終わった幕末という時代。この時代はほんとうに面白いと思います。ぼくは大好き。
もちろん坂本龍馬も大好きですが、高杉晋作、桂小五郎、村田蔵六、吉田寅次郎、もう本当に好きな人が多いです。
幕末というのは歴史物語でも青春物語でもあるんですね。
若かりし彼らは志を持って日本中を旅していろいろな人達と出会う。仲良くなったり反目したり、利用したり利用されたり。その中で生命を失い、そして何かを成し遂げていく。
あまりに若者的で、その爽やかさや美しさが、もう本当にたまらなく好きです。
さてそんな幕末を描いた漫画にも名作が多いのですがぼくの独断と偏見でオススメ三作品挙げさせてもらいます。

風雲児たち 幕末編 作者:みなもと太郎

幕末漫画の中でこれはダントツ一番です。ぼくの中では。
シーボルトイネの物語から始まり村田蔵六が登場し、徐々に歴史上の人物たちが現れていきます。
後の吉田松陰こと吉田寅次郎もその中の一人です。この吉田寅次郎の描き方が最高ですっかりと寅次郎を好きになりました。
日本人の仕事魂や心意気にもしっかりと触れ、毎回読むたびに発見のある作品です。
しかもギャグ漫画なのです。歴史xギャグ。とにかく丁寧に描くが故に展開が遅いのが難点ですが、
もっともっと丁寧に画いてほしいという気持ちもあります。細かいエピソードの積み重ねが歴史の理解を助けるからです。
とにかくすごい作品です。

おーい!竜馬 原作:武田鉄矢、作画:小山ゆう

タイトルから分かるように竜馬が主役の漫画で、多少の演出は有るものの史実にかなり忠実に描かれた作品です。
歴史物というよりも青春活劇物です。竜馬の物語を描く際に難しいと思うのは彼が歴史上で大活躍する薩長同盟と大政奉還が、政治工作なのでどうしても地味になる事です。西郷や木戸、後藤を説得して回るという仕事です。
例えば高杉晋作のように革命戦争の指揮をとるというような華やかさがないのです。だから竜馬を主役にして最後までしっかりと描ききるのは
本当に難しいと思うのですが、この作品は最後までしっかりとやってくれました。
だから『おーい!竜馬』を開けば竜馬が最後までどういう活躍をしたのかいつでも見ることが出来ます。

陸奥圓明流外伝 修羅の刻 風雲幕末編 作者:川原正敏

この作品は月刊マガジンに掲載されたものですし知っている人はかなり多いのではないかと思います。
ここまで紹介した2作品に比べると歴史物としてよりエンターテイメント物で、『JIN』や『龍狼伝』なんかに近い性質の作品です。
架空の人物である主人公陸奥出海を軸に坂本龍馬、土方歳三、沖田総司らが活躍する物語です。
主人公は架空であっても、それ以外の部分は非常に史実に忠実で、むしろ陸奥出海の存在により歴史上の疑問が腑に落ちるようなストーリー展開は素晴らしいなと思いました。
例としては、暗殺者に狙われる坂本龍馬が何故あれほど自由に薩長同盟や大政奉還という大事業を成せたかという疑問に対して、最強の格闘家である陸奥出海が常に龍馬の傍らにいたからという理由があります。出海という雲に乗って龍馬は大事業を成したという話です。
確かに龍馬は命を狙われる様になってからも相当に人に合わなければいけなかったはずなのでそこへの理由付けとして完成度が高いです。

本物の人間である以上、死に際が必ずしもドラマチックではないのですが、陸奥出海の存在で土方歳三、沖田総司の死は非常に華やかになります。
これは作者である川原氏が彼らに捧げた鎮魂歌なのかもしれません。

ぼくがこの本を手にした年齢は小学生から中学生にかけてくらいの時期なのですが、今まで何度開いたかわかりません。

司馬遼太郎の影響

上記三作品には司馬遼太郎氏の影響を非常に強く感じますね。
同じ題材を例に取る以上避けられないのかも知れません。

『風雲児たち 幕末編』には、『花神』『世に棲む日日』の影響が強く感じられますし、『おーい!竜馬』は『竜馬がいく』の影響が。
竜馬のりゅうの字を「竜」で表記する事自体が司馬氏の影響だと思います。
司馬遼太郎氏が以前龍馬のりゅうの字を「竜」にしたのは小説として龍馬を自由に書くためにやったと言っていたのを読んだ記憶があります。
『おーい!竜馬』のあとがきで作者も『竜馬がいく』という作品との兼ね合いを気にするコメントをしていました。
『陸奥圓明流外伝 修羅の刻 風雲幕末編』は、そういう意味でもっとも自由だったかもしれません。
定説的である幕末世界を作りそこに架空の主人公を投じる事により無理のない面白さを作り出しました。

もし幕末好きであればこの3作品以外にも司馬遼太郎氏の『花神』『世に棲む日日』『おーい!竜馬』『燃えよ!剣』はオススメです。
多様な作品に触れれば触れるほど時代を立体的に感じる事が出来るようになり、より楽しむ事が出来ます。

 

【レビュー】 ヒストリエ 作者:岩明均


あまりに面白いアレクサンドロス大王の書記官エウメネスの生涯

ヒストリエは、『寄生獣』『七夕の国』などで有名な実力派作家 岩明均氏の作品で、実在の人物エウメネスの人生を題材にした歴史ロマン漫画だ。

エウメネスとはどんな人物かというと、かの有名なアレクサンドロス大王の書記官を務めていた人物で前半生がかなり謎な人物だ。
それはヒストリエ風に表現すると記録する側から記録される側に移ったからとなる。
彼はアレクサンドロスが生きている間は書記官としての任務を全うし彼が記録する側である以上自分の事を書きたくなければ書く必要もなかった。
しかしアレクサンドロス没後「ディアドコイ」と呼ばれる後継者戦争に巻き込まれていく事になり彼は記録する側からされる側に回った。

書記官という官職を作者なりに調理

ヒストリエのエウメネスの人物像は、飄々としていて名声や権力、黄金や美女に興味がなく、強烈に持っている欲は知識欲。
運命に翻弄されて軍人になるが本に囲まれる仕事を与えられると大喜びする。
生い立ちに大きな悲しみを持っているにも関わらず性格に歪みがなく人当たりも優しい。

そういった好人物として描かれている。
とは言え、作者である岩明氏は主人公だからエウメネスを好人物に描いたのではないように思える。むしろ好人物だったからエウメネスを主役にしたのではないか。
アレクサンドロスの歴史を描くに辺り同時代の人物を作者は散々調べただろう。少し時代は遡るもののヘウレーカという短編も執筆している。
激動の時代に綺羅星の如く群がる歴史上の人物の中でエウメネスこそ主役に相応しいと判断したのだと思う。

それにしても漫画というのは一つの作品を書き始めると長期連載に至る場合が多い。
昔読んだ岩明均氏のインタビューに、自分は幾つもの作品を器用にこなせるタイプの作家ではない。というものがあったと記憶している。
その言葉通り著者は2004年からヒストリエを連載し現在まだ8巻だ。
ほとんど10年経過した。現在の進行スピードからいけばあと20年は連載を続ける必要があるように思える。
作者にとってエウメネスは一生の仕事の相棒のようなものとなるだろう。

忠臣であり無敵のエウメネス

アレクサンドロス没後の後継者戦争でエウメネスはアレクサンドロスの正当な血統を守るために戦った。
そして兵力において不利があっても戦略、戦術を駆使しほとんど負けなかった。
最後は部下の裏切りによって捕らえられ処刑されるのだが知恵では誰にも負けなかった印象があり非常にヒーロー的だ。
エウメネスは諸葛孔明であり竹中半兵衛である。
誰もが素直に応援できる王道であり時代最高の頭脳とそれを行動に移す英雄的な胆力を擁していた。
にも関わらず日本での知名度はイマイチで素材としては最高だといえる。
エウメネス像を作者が自分で作ることが出来るのだ。そして既に日本でのエウメネス像はヒストリエのエウメネスとなっている。

名言の宝庫 ヒストリエ

ヒストリエの魅力に素晴らしい言葉の数々がある。
人生の指針になってしまいそうな素晴らしいパワーのある言葉だ。

”人の心は弱いもの……と言うより かなりあやふやで変形しやすいものだという事をこの経験は学ばせてくれた”

エウメネス ヒストリエ 2巻

”ぼくがスキタイ人である事と スキタイ人奴隷トラクスが どの時点で死体になっていたか解明する事は別の問題だろ?”

エウメネス ヒストリエ 2巻

”急ごう! 宝飾店なんかで待たせた日にゃ ペリアラの欲望はじゃんじゃか膨らむぞ!”

エウメネス ヒストリエ 2巻

”図書室で読むのは学校の授業とは直接係わらないモノが多いんだけど…… でも考えを組み立てたり 少し角度を変えて物事を見たりするのに役立っていると思う……それが学校の成績に出たんなら良かったよ”

エウメネス ヒストリエ 1巻

”今ふり返ると…… 全ての始まりは その”図書室”であったように思う”

エウメネス ヒストリエ 1巻

”誰にもじゃまされず ひとり書を読む…… 最も心地よい歩調で世界が広がってゆく”

エウメネス ヒストリエ 1巻

”地球の大きさからしたらほんのわずかだ”

エウメネス ヒストリエ 1巻

”えっどこですか 例えば!? 例えばどこが間違いなんですか!?”

エウメネス ヒストリエ 1巻

このように1巻、2巻を紐解くだけでも数々の名言が溢れてくる。
わたし個人としては「本、図書館」にまつわる言葉が非常に好きだ。

ヒストリエを読んでないなら人生の半分を損してる

大げさなようだがわたしはそのくらいこの本が好きだ。
一生読み続けると思う。
そして好きなモノだからこそ人にもオススメしたいと思う。
このレビューに触れた方が僅かでも興味を持ちヒストリエの1巻を手に取ってくれたならファン冥利に尽きるというものだ。

 

””は、講談社「ヒストリエ」 作者:岩明均から引用

 

もろ個人的な独断と偏見で歴史まんが、おすすめベスト10を作ってみました。 2013年度版

漫画と歴史は非常に相性の良い組み合わせです。

例えば服装や町並みは文字で書いただけでは伝わり難いのですが、絵であれば一目瞭然です。

もちろんドラマや映画でもいいのですが、多くの人物が複雑に入り組むことが多い歴史作品の性質上、いつでも中断して読み直せるという漫画があっています。

 

そこで、歴史まんがの中でも傑作といえる10作品をランキングしてみました。
もちろん好みがあるので一概には言えませんが、どれも名作といえる作品を集めました。では早速ランキングです。

第10位 シグルイ 漫画 山口貴由 原作 南條範夫

南條範夫の小説『駿河城御前試合』の一話目である無明逆流れを中心に展開されている。小説では数十ページ程度の短い話だが、漫画は単行本全15巻にて丁寧に描かれている。小説一話目以外の要素も途中で出てくるため、果たしてどれほどの長編になるのかと心配したが、あくまでも小説一話目、無明逆流れを中心に完結した。チャンバラの描き方が独創的で何度も読み返してしまう。このまんがを歴史まんがというには異論があるかもしれないが、舞台設定はしっかりとしている。時代漫画というべきかもしれない。

 

第9位 センゴク 宮下英樹

歴史上の大きな流れを踏まえつつ独自の解釈を加えて新しい戦国時代を作り出している。主人公である仙石権兵衛秀久は、従来の歴史ファンなら主人公にはしない様な華の無い人物だが、うまく料理して一味違う戦国モノを作り出している。登場人物を見る視点を変える事で味を変えるというのは当作品全体に流れる手法で、明智光秀、豊臣秀吉、今川義元、武田勝頼など、ことごとく一般的なイメージと違う。そういう意味での変化が理解できる「通」好みの作品ともいえる。

 

第8位 バガボンド 井上雄彦

この作品を歴史まんがと言っていいのかどうか。10位に入った「シグルイ」もだが歴史という大局に関わらなかったが、注目すべき人生を生きた人物を描くという性質の作品。作者の井上雄彦は「スラムダンク」で描いたバスケット同様にチャンバラをリアルに描いている。同時に宮本武蔵の内面にも脚光を当てている。父親との関係からか意外と内向的な宮本武蔵の描き方は新鮮だ。

 

第7位 大奥 よしながふみ

男女逆転の江戸時代という、突拍子も無い設定だが、内容は大真面目だ。男女逆転にしても理由もなく入れ替わったのではなく男だけが死ぬ疫病で男の数が減り男女が逆転しないと社会が成立たなくなったという必然性が設定されている。大真面目に馬鹿げた設定に取り組んでいる作品で、その考え方は作品の細部に及んでいる。立場は逆転しても男と女の感性の違いは残っていたりする。そういったチグハグが生み出す切なさが作品全体の魅力にもなっている。

 

第6位 おーい!竜馬 小山ゆう 原作 武田鉄也

 あずみの小山ゆうと金八先生の武田鉄也が描く坂本龍馬まんが。高杉晋作と坂本龍馬が一緒に上海に行ってしまうような史実にない展開もあるが、分かりやすさと面白さをうまく作り出している。龍馬が題材だと大政奉還のあたりでの龍馬の活動が絵的には地味になりやすいのだが、そこまでしっかりと描き切れているのもよい。

 

第5位 へうげもの 山田芳裕

 文化という観点から戦国時代を描くことにより独特な世界観を作り出すことに成功している。信長の死など、いくつか史実と異なる独特な解釈や展開があり、それがまたワクワク感を出している。やりすぎればファンタジーになってしまうところを絶妙なバランス感覚でまとめている。読後にワビだのスキだのと読者がかぶれてしまうのも独特で、ギャラリーフェイクの読後感に近い。美術漫画だからだろうか。

 

第4位 雪の峠・剣の舞 岩明均

 歴史まんがの醍醐味の一つとして、昔こんなドラマチックな事がありました。そしてそれが現代のこれになりました。みんなが当たり前だと思っている物も人間の繋がりで生まれました。それでビックリ!という仕掛けがある。物事の発祥を巡るまんがということで、仮に発祥まんがとでも呼ぼうか。「雪の峠・剣の舞」は、まさに発祥まんがの傑作といえる。雪の峠と剣の舞という2作が一冊の単行本に収録されているのだが、特に雪の峠は発祥まんがの王道であり最高傑作。

 

第3位 赤龍王 本宮ひろし

 始皇帝から項羽、劉邦へと移り変わる中華の覇権を描いた傑作。自力で勢力を拡大していく項羽と仲間との協力で成長していく劉邦が最終的に天下をかけて戦う。商業的な理由からか終盤が駆け足になってしまったのが残念。少しだけ入ったフィクションも効果的で物語をうまく盛り上げている。項羽と劉邦を扱った作品の中ではまんがの枠を越えて最高傑作。

 

第2位 風雲児たち みなもと太郎

 幕末編も含めてどちらも面白い。作者の歴史に対する深い知識と、それを分かりやすく、ざっくりと伝える技術が非常に相性がよく複雑になりがちな時代背景や人物相関関係を鮮やかに浮かび上がらせている。歴史の面白さを最大限に引き出している。最早職人芸の域だ。出来れば昭和史までやって欲しい。

 

第1位 蒼天航路 王欣太

 横山光輝によってまんが版三国志は完成してしまった。しかしこの作品で三国志が蘇った。三国志正史と三国志演義のギャップを使い新鮮な三国志を生み出すことに成功。そしてこっちのが史実なんだよという説得力。たいていマニアックな三国志ファンは三国志正史をもとに演義は作り話だからと言って見下す。蒼天航路は単純にまんがとして面白く、従来の三国志演義ファンには新鮮さを与え、マニアックな三国志ファンには共感を得た。新しい登場人物が、どのように描かれるのか。それが、これほど楽しみだった歴史まんがは他にない。

さて歴史まんがランキングいかがでしたか?

それぞれ面白い漫画を集めたつもりです。ちなみに完結している作品も、継続している作品も取り混ぜておりますので、このランキングはあくまで2013年度版となります。バガボンドとシグルイを歴史まんがに入れていいのか悩みました。これらの作品を入れると「バジリスク せがわまさき」「ヴィンランド・サガ 幸村誠」なども歴史まんがに入るのかもしれません。結論が分かっている歴史漫画だからこそ、作者の力量が問われる歴史まんが。ランキングの中に知らない歴史まんががありましたら是非一読される事をお勧めいたします。

歴史マンガで人生を輝かす!

まず大前提として歴史を知る事は非常に良い事です。

それは人類の過去を知る事で未来の行く末の予測を助けることにもなりますし、 歴史は人間ドラマですから人を知ることが出来ます。歴史を俯瞰してみることによって、 自分の置かれている状況を俯瞰してみる事の練習にもなりますし、 歴史好きな人との話のネタにもなります。
また歴史は、教科書に載っている事が全てではありません。 真実はどうだったのか良く分からない事が多いです。 したがって、その歴史が記された時代や、記した人の影響も考慮しなければなりません。 人間が行ったことを、どう見るかという事の本質でもあり、そういう多角的なモノの見方も学べます。

そして歴史に触れるならマンガが良いと思います。まずはマンガです。 なぜなら歴史マンガを読むと歴史の理解が非常に早くてよいです。 何故かというと小説などの文字だけでは服装や建物などが分かりにくく印象に残りませんし、 イメージが難しいのです。そこを絵で描いてもらうことによって非常に分かりやすくなる。 どこの小学校でも日本の歴史や世界の歴史のマンガがおいてありますよね。 まずは、あれが分かりやすくていいのです。

幕末なら幕末のマンガをいくつか読んで時代のイメージを持ってしまうと簡単です。 そして複数の作品を読むことによって必ず歴史の解釈違うので、 それが多角的に見るという事の練習になります。 その時代をある程度理解できたら小説でも歴史の本でも何でも理解しやすく面白く感じられるでしょう。

 

高杉晋作が登場する漫画

日本の歴史上で非常に人気のある英雄、高杉晋作。
その高杉晋作が活躍するまんがをいくつか紹介いたします。

まず、SIDOOH/士道 高橋ツトム 、この作品には高杉晋作がかなり出てきます。キャラクターのイメージも史実に近いので歴史ファンにも違和感なく楽しめると思います。
おーい竜馬、これも正統派の高杉晋作で生き様も死に様も最高です。
銀魂、幕末を元にしたファンタジーではあるけれど時代背景とか結構こまかく詳しい。史実のポイントを抑えているのは面白い。高杉晋助という人物が出てくる。これはこれでかなり面白い。

そのほかに、高杉晋作が活躍するまんが。
風雲児たち 幕末編、 るろうに剣心、  村上もとか:「JIN-仁-」 、 松本零士:「陽炎の紋章」 、 むつ利之:「龍馬へ」 、 斉藤栄一:「萩が生んだ若き志士 吉田松陰とその門下生」 、 はしもとみつお『走れ晋作』(角川書店) 、 和月伸宏『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』(集英社) 村上もとか『JIN-仁-』(集英社) 青池保子『イブの息子たち』(6巻・7巻に登場)(秋田書店) 杉本亜未『夕凪』(『春やきぬらん』に収録)(角川書店) むつ利之『龍馬へ』(講談社) 奈々巻かなこ『声音師2(『狐宿』の回)』(小学館) 『日本の歴史15 ゆきづまる幕府』(小学館) 『日本の歴史16 幕末の風雲』(小学館) 斉藤栄一『萩が生んだ若き志士 吉田松陰とその門下生』 加瀬あつし『ばくだん!幕末男子』(4巻から登場)(講談社)

坂本龍馬が登場する漫画

坂本龍馬。日本人が好きな歴史上の偉人で常に一位か二位にいるのが坂本龍馬です。 その坂本龍馬が活躍する漫画を集めてみました。

『おーい竜馬』、まずは定番。これを読めば竜馬の活躍はほとんど分かります。もちろん漫画としても面白く、 特にチャンバラはあずみの小山ゆうだけあって素晴らしいです。土佐の差別の中で育った竜馬の葛藤と、志によって育った環境からの影響を乗り越える姿は勇気を与えられます。

『陸奥圓明流外伝 修羅の刻』(画:川原正敏)個人的に一番好きなのは、この作品の坂本龍馬です。竜馬像をうまく解釈し活き活きと描いています。 坂本龍馬を知らなかった子供の読者に坂本龍馬を知らしめた功績も大きいかも知れません。画も雰囲気も素晴らしく幕末という青春活劇をうまく表現しています。

『JIN-仁-』(村上もとか)上述の作品と同じで、幕末人物+架空の主人公というパターンです。幕末は西欧技術への恐怖と憧れが起こしたという側面もあり、 現代医学という最先端の道具を持った主人公が活躍するというのは発明的な面白さです。設定の時点で面白いに決まっている作品。ちなみに作者は”六三四の剣”の村上もとか。

そのほか坂本龍馬が活躍する漫画 『雲竜奔馬』(みなもと太郎) 『お〜い!竜馬』(作:武田鉄矢、画:小山ゆう) 『坂本龍馬』(黒鉄ヒロシ) 『坂本龍馬』(作:山岡荘八、画:横山まさみち) 『龍馬へ』(むつ利之) 『人斬り龍馬』(石川雅之) 『天翔の龍馬』(作:梅村真也、画:橋本エイジ) 『龍馬滾ル!』(原作・北大路龍星、漫画・かたやままこと)※ヤングアニマル連載・不定期連載 『風雲児たち』(みなもと太郎) 『陸奥圓明流外伝 修羅の刻』(画:川原正敏) 『JIN-仁-』(村上もとか) 『サムライガン』(熊谷カズヒロ)※ただし「坂本龍馬」であることは一切言及されない。アニメ化に際して初めてその名が語られた。