【レビュー】 達人伝 -9万里を風に乗り- 作者:王欣太


あの蒼天航路の王欣太氏の中国歴史もの

これだけで読む価値はあると思います。そして蒼天航路のファンに向けたファンサービスのような序盤の展開がありました。
主人公の所属する国の王様は曹操とそっくりの外観です。そしてその王が志半ばにして秦の武将に討たれます。

その秦から自分の祖国を守るために主人公は立ち上がります。

思想家荘子の孫が主役

中国の思想家荘子の孫の物語です。荘子の思想というモノを私はよく知りません。昔本を読んだことがあるけどすっかり忘れました。
今ちょっとネットで調べると、「自然体でいこうぜ」的な印象を受けます。
そう考えるとこの作品の主人公であり荘子の孫である荘丹にも通づる印象があります。

作者の調理の腕前に期待

蒼天航路では歴史的な背景を深く調べ巷の三国志ファンを唸らせる程の深い洞察をした作者。
今回描く春秋戦国時代は三国志に比べれば時代も古く、残っている資料も少ないでしょうし伝説的なエビソードも多いと思います。
また日本でも三国志ほどにはイメージが確立されていません。
これは作家にとっては自由に描く余地が大きいという事になります。

その余白の大きい時代を荘丹という主人公を持って王欣太氏が如何に切り開いていくのか非常に楽しみです。

*こちらの記事は単行本3巻まで発売時点でのレビューです。

-双葉社 「達人伝 -9万里を風に乗り-」 作者:王欣太 –