のび太 命名に込められた作中では描かれない藤子F不二夫の想い

ドラえもんの相棒のび太。聞きなれてしまったので違和感がまったくないが、現実ではありえない変わった名前だ。なぜそのような名前にしたのか、そこにはある隠されたエピソードがある。

作中ではのびのびと育つようにという両親の想いが語られているが、それとは別の作者の想いがある。 のび太は勉強も出来ない。いじめられる。忘れ物をする。立たされる。怒られる。会社を作れば火事で倒産する。などなど、もはや呪われているのではないかというレベルだ。そういうのび太のキャラクターに対して、もし「ミツオ」とか「しょうた」とか「栄一」とか一般的な名前を付けたとしたら、同じ名前の子供がいじめられるかもしれない。そうしたら可哀想だ。そう作者は考えた。

その結果、現実には存在しない名前、のび太と名付けた。これはドラえもんという作品の本質を表すエピソードだと思う。そういう少年読者に対する丁寧で優しい配慮があるから、藤子F不二夫のマンガは高度なSF理論を背景にしても小学生に分かるように低学年でも楽しめるようになっている。そこまでの果てしない読者への優しさと、それを予測する圧倒的な想像力が藤子F不二夫マンガの魅力なのだと思う。

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