サッカー漫画考察 蹴児(ケリンジ)

月間少年マガジンの2010年9月号から2011年11月号に連載されていた作品で、単行本化もされていますが、週刊誌ではなく月刊誌だったところが、脚光を今一つ浴びない理由なのでしょうか?

名監督を慕って日本全国から新設高校のサッカー部に生徒が集まったものの、肝心の名監督が3カ月後に急死してしまい、遺言のような形でキャプテンに指名されたのが、とんでもない運動音痴の部員(この彼が主人公!)であったところからストーリーが始まります。

ものすごい努力をして、とんでもないプレイヤーになる…ような展開はなく、キャプテンでありながら試合には出ない彼が、試合の「戦術」という形でチームに貢献していき、チームメイトに認められていく、そんなストーリー展開となっています。

多くの、と言うよりほとんどのサッカー漫画が、主人公=プレイヤーな訳ですから、ゲームの中で動く主人公がパスをどうするとか、シュートをここで打てば勝てるといった展開になっている中で、戦術のみを考えてチームに貢献する形というのは、かなり異色な存在と言ってもいいでしょう。実際にこういうキャプテンが高校サッカー界に存在するのかと言えば、その可能性はほぼゼロでしょう。

しかしこの漫画の面白いところは、その戦術に着眼点を置いたところです。スポーツ漫画と言うと、どうしてもアクションを大胆な構図で描いて引き付けるといった展開が多くなります。それはそれで面白いし、絵で動きを見せるには一番効果的なので当然でしょう。また、戦術論を語りたがる奴=ボールすらまともに蹴ったことのない奴といったイメージが、戦術をメインにした話に対するアレルギーのようなものを起こさせているのかも知れません。それでも、敢えてその戦術に焦点を当てて話を展開させているこの作品には、他のサッカー漫画にはない面白さや惹き付ける何かを感じます。

サッカーをあまりよく知らない人はもちろん、戦術論にアレルギーを感じている人にも一読していただきたい作品です。

 

追記

この作品で作画担当している千田純生氏のツイッターは中々面白いですよ。

 

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