いじめっ子も普通の子っていうのは学校のどうしょうもない所 【レビュー】 聲の形 第31話

将也が良い奴なのが逆に切ない

将也は小学生のころ硝子の事をいじめていた。しかし今、将也は優しい。実の所ぼくは一番最初にこの作品を読んだ時に将也はいじめなんてしないタイプだと感じた。少年漫画の典型的な主人公らしく弱い子を守るタイプに見えた。それは直ぐに裏切られてしまうわけだけど。

本当は心の優しい子でも環境次第でいじめっ子になる

小学校時代の将也も本当は心のやさしい少年だったのではないか。心優しい子でも周りの導き方によっては人を虐めるような事がある。子供はまだ子供で未熟な人間で、その行動は本能に近い。弱い人間、異質な人間を排除しようとするのが本能の本質だとしたら将也は子供らしい子供だった。

だからこそ教師が大切、そして親も

彼らの小学校の教師は硝子を上手く受け入れる事が出来なかったように思える。だからそれが生徒たちにも伝わったように感じた。将也がいじめをエスカレートさせたのは先生が肯定のサインを送ったからだとぼくは見ている。また硝子の親も悪かった。今週語られるのだが硝子の母は補聴器の事件の際に自分で解決できるように様子を見ていたという。ぼくは早い段階で親が入って大事にするべきだったと思う。子供が自分で解決できるような事だろうか?大人だって職場でパワハラやセクハラで苦労しているじゃないか。特に硝子は耳が聞こえないのだ。戦い方を親が見せるべきじゃないのかとぼくは思う。

普通の子がいじめっこ

ぼくはイジメは普通の子がやるからこそ怖いのだと思う。将也の家庭に問題がなかったとは言えない。彼の姉は明らかに逸脱してしまっていたし。とはいえ、将也は優しい性質を持った普通の子だった。その彼がいじめっ子になるのだから、それが怖いし、またこの作品では、そのあたりを非常に丁寧に描いていたと思う。好奇心でからかい初め、不利益(合唱コンクール等)からいじめを正当化し始めたのだ。今回、将也の優しさを見て、逆にそういった怖さを感じた。

結絃と母親

今回よく出来ているなと思った所。ぼくは親のいやな所きらいな所を何故か子供は受け継いでしまうものだと思っていて、結絃と母親の関係がまさにそれで人間観察が深いなと思った。親に虐待された子供は自分の子供を虐待する確率が高い、親が離婚した場合、自殺した場合、いずれも子供が同じ行動を取る場合が多いらしい。

自分の親のダメな所を自分も持っていると自覚する事が始まり

もし自分の親に対して本当にダメだと思っている事があったら、それを自分も持っていると認める事が、その流れから逃れる最初の一歩だと思う。例えば西宮家の母親の様に冷たい(そう振る舞ってしまう)のが本当に嫌だと感じたら自分にもその要素がある事を認めて、それと戦わなければいけない。前回のレビューでも書いたのだが結絃と母親が似るのは当たり前だと思う。硝子を守るために強くあらねばならないと二人共思っているのだ。だから硝子はいつまでも純粋な女の子でいられるのだ。将也を許せる硝子は、結絃と母親が守ってきたから存在しているのだ。

だけど結絃はまだ子供だから

結絃がどういう気持で日々過ごしているのか考えると切なくなる。最近ではあまり聞かなくなった言葉だが「アダルトチルドレン」という状態だろう。子供でいることをやめてしまったのだ。でもバランスが崩れてる。将也との繋がりの中で開放されるといいな。硝子を将也に任せられるなら結絃がどれほど開放されるだろうか。

聲の形 第32話 予想

硝子の耳が聴こえないためこの作品では手紙がキーワードになるのかもしれない。硝子が植野に渡した手紙の内容も明らかになってないので気になる所ではあるが、来週は祖母が硝子に遺した手紙に焦点が当てられるのではいかと予想する。結絃にだけ残すとは考えにくいからだ。ただ硝子は耳が聞こえないからか人の心を感じとってしまうような印象がある。祖母が残す手紙は彼女にとって意外性のある内容ではないかもしれない。祖母の心配と願いが記されていると思う。

-週刊少年マガジン 2014年17号 聲の形 作者:大今良時-

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