仏教的世界観を題材にした作品
主人公は高校生で、実家はお寺のようです。仏教的な世界観は作品全体でキーワードになってきます。妹が座敷牢に閉じ込められていて、それが原因で主人公と父親が不仲である事が伝わります。
乾いた空気感に引き込まれる
「ブリーチ」と「蟲師」の中間の様な空気感で初期の頃の「孔雀王」も感じさせるような乾いた雰囲気があります。作品のテーマは仏教の毒なのですが、それが非常に絵と「間」にマッチしていて引き込まれるものがありました。
最初が大切
読み切りや新連載は最初の数ページが大切だと思うのですが、この作品は掴みが最高でした。路地裏で喧嘩している主人公が1ページ目です。これは特に深い印象はありません。そしてページを捲ったあとの3ページ目です。このページが凄いです。寺院の静寂と厳かさ、そしてここからの物語を期待させる「なにかいそう」な感じがスッと入ってきました。
ストーリーはよくわからない
おそらく壮大なストーリーが後ろに隠れているのでしょう。この話だけではストーリーとしてはあまり理解できませんでした。途中に出てくる殺人犯はもう少し描いて欲しかったです。最後は化け物の怖さしかなくなり、人間の怖さがなくなってしまいました。そのあたりはもう少し深みが欲しかったです。
世界観が圧倒的
とはいえ、ぼくにとってこの作品の魅力はその世界観にあります。寺院の描写と題材である仏教に合った絵柄。これだけで最後まで夢中でページを追いかけてしまいました。これは是非連載して欲しいですね。
-週刊少年サンデー 2014年17号 クレーシャの鐘 作者:果向浩平-