小学生が出来るスマートにいじめを回避する新しい方法を提示した作者の若々しい視点
SF x 青春ジュブナイル巨編と銘打たれた作品の第9話の感想を書きます。
とはいえ、サンデー買うのも久しぶりであらすじとかも分からないのですが、まあ思ったことを端的に書いていけたらと考えています。
バードメンは少年サンデーに月一で連載しているようです。今週、巻頭カラーで1P目に”超人気月イチシリーズ”という表記がありますから多分そうなのだと思います。
どうも新展開らしく巻頭カラーです。カラーページであらすじまで説明してます。
とはいえこういうあらすじの説明は読者が今までの流れをおさらいするためのものでしょう。
まったくの初めての読者の僕は読む気もしません。とはいえせっかくブログで記事を書くわけですから、まあ読まないわけにもいかないなと思いあらすじを読んでみたのですが、
やっぱり分かりません。コミックスの頭にある前回までのあらすじと一緒でリマインド用です。
僕は対象外の読者でしょうから理解できなくて当たり前でしょう。
主人公紹介を読むと、”突然のバス事故を機に翼が生える。”とありました。
そして作中では
”ワリと簡単には死なない事もわかったし…”
というセリフもあるので、突如スーパーマン的な能力を授かった主人公的な物語なのでしょう。
”内臓出ても平気かお前!?”
というセリフもあり、どうやら内臓が出たくらいでは死なないようです。
バスにひかれても、内臓が出ても死なない。この設定や事件を聞くとどうしても3x3アイズを思い出してしまいますね。
今回の話の中で本筋ではないんですけどキャラ立てのための回想シーンのような所があってそれがかなり完成度が高く視点がユニークで面白かったです。
またイジメに苦しんでいる子供に対して新しい、そして聡明な手助けを提示しているようで感動しました。
【小学生が出来るスマートにいじめを回避する方法】
これを提示したと思います。
いじめられっ子(鴨田)がいました。
”話しかけても無視されて、ノートとか教科書とか道具箱とか色々壊されてさ…”
という状況です。
それを友達(英ちゃん)が助けようとします。
その方法が少年漫画っぽくなく、且つ現実的で目からうろこでした。
英ちゃんは、そのいろいろ壊されたものをスマホで撮影します。
破かれたノートや汚された机、そして英ちゃんはこう言います。
”お前何かされたら次から一つ残らず俺に報告しろ。日付と、できたら時間もな”
そうです。彼はスマホで証拠を残していたのです。
”こーいうのは記録がモノを言うんだよ。”
【どちらの生徒も信じる先生】
学校でいじめが起こったとき、例えそれが自殺をするような事態になっても学校はいじめの事実を認めないような事が多いと思います。
それは教師たちはいじめられっ子ももちろん守るべき生徒だけどいじめたかもしれない子供(確信がない)も守るべき生徒だからです。
だからいじめっことして疑われている子供も信じなければいけないし、信じる事が仕事でもあると思います。
もちろんいじめ問題を管理できなかったか学校側の落ち度を隠したいという気持ちが働くケースもあるでしょう。
【証拠しか身を守る手段はないのでは?】
そこで重要なのは証拠です。
簡単な写真などはいじめ被害者が自作自演したと疑いをもたれるかもしれませんが、
動画だったらどうでしょうか?動画がなかなか難しかったらボイスレコーダーでの録音なども出来ます。明らかな証拠になるでしょう
この証拠を使っていじめっ子と戦う。パワハラやセクハラとの戦い方と一緒です。
もちろん勇気がなければ証拠を使う事は出来ないかもしれません。またそういう行動力がある子は苛められにくいかもしれません。
しかし証拠を揃えておけば、それを親や先生に見せるだけなので信じてくれないかもしれないという恐怖は薄れると思います。
一番いいのは教室にウェブカメラつけておいて保護者は常に授業参観出来てる状態にすればいいんですけど、そこまでいくにはまだまだ時間がかかるでしょう。
バードメンのイジメとの戦い方が秀逸なのは少年漫画のテンプレを超えたことによります。
一昔前の少年漫画だといじめっこを強い主人公が「ぶっ飛ばす」ことによって解決してました。
最近ではいじめられっこに「自分(いじめられっこ)が変わらなきゃいけない」と気付かせることによって変化を促し解決するパターンです。
しかしバードメンでは、暴力や自己啓発に頼らず、要するにいじめられっこが実行するのはなかなか難しい事には頼らず、
社会のルールを正しく使って解決しようとします。これは大人になっても通用する問題解決スキルですから非常にスマートだといえます。
【物語は感動的な結末へ】
そしていじめの決着が更に感慨深いものでした。
苛められている鴨田は言います。
”でもさ英ちゃん。あいつら友達だから…”
いじめたりいじめられたりしても友達だから、、、
子供が大人にいじめられていると言えないのは、こういう心理が働くせいもあるでしょう。
そして、いじめっ子たちが鴨田の机にイタズラしている現場を押さえた二人。
逆上するいじめっ子は二人は暴力を振るいます。
そしてこれは実は英ちゃんがしかけたものでした。
いじめっこは英ちゃんのスマホを踏み潰します。
上履きには3-2と書いてあるので小学3年生ですね。スマホ持ってんのか、、、、。
そこで英ちゃんは、いじめっ子に対して手を出させる事が狙いだったと明かします。
いじめっ子をハメるために仕掛けた罠だったのです。
証拠を使って大人を巻き込んでいじめっ子たちを追い込んでやると脅します。
壊されたスマホ(スマホのデータは外部に保存済み)も証拠になるし殴られた傷も証拠になると言い放ちます。
お前らをハメてやると脅します。それが嫌ならいじめをやめろといいます。
これでいじめ問題は解決しました。
最後の英ちゃんの言葉が泣かせます。
”鴨田はそれでもお前らのこと友達だと思ってんだってさ。”
まずは知恵で圧倒して大人が出てくるぞって言う恐怖を与えて、最後に情に訴える。
爽快に決まって読者もすっきりです。
現代のスマートフォン社会ではイジメと証拠で戦えるという事を提示したすごい話しです。
いじめに苦しんでいる子がいたらまず証拠を集める事から始めようと言いたくなります。
というか、バードメン第9話(この話)を読んでほしい。
【子どもに盗聴器を仕込む親も出てくるのかも?】
自分の子どもが虐められているかもしれないと心配で子どもの服に小型ボイスレコーダーや
盗聴器を仕込んじゃう親とかも出てくるのかも知れないなとも感じました。
【気の利いたエピソードのパワー】
さて今回はじめてバードメンを読んだわけなので継続した本筋の話がまったく分からず、まあ実際面白くはありません。
とはいえ、こういった魅力的なエピソードを盛り込むことにより「この漫画を最初から読みたいな。来週も読もう」という気持ちになります。
魅力的な短いエピソードを入れるというのは連載漫画の読者を増やすには有効な手段であると感じましたし、この作品はそれを成功していると感じました。
【一番刺さったセリフ】
”こーいうのは記録がモノを言うんだよ”
”バカ相手に傷つく必要なんかない。”
”何かされる度にあいつらを追い込むポイントがたまったと思え。”
-週刊少年サンデー 2014年13号 BIRDMEN-
””は、小学館「BIRDMEN」 作者:田辺イエロウ から引用