ひきこもりに可愛い女の子が救いの手を差し伸べる
ヒロイン岬ちゃんが引き篭もりの主人公佐藤に手を差し伸べる話で、何が面白いかというと佐藤のクズ加減ですね。引き篭もりの中でもかなりダメな部類に入ると思います。佐藤を見下して楽しむもよし共感するもよしという作品です。人生のモラトリアム期間があった人は共感も出来ると思いますよ。
「人によく思われたい」や「見栄を張りたい」をテーブルの上に出される
岬ちゃん相手にカッコつけたいためにゲームを作る会社をやっていると嘘をつく佐藤。可愛い女の子に自分をよく見せたいのは分かるけど嘘が大げさすぎます。とはいえ誰でもある見栄を張りたい心を上手く表現していて、なんか自分の心の中にもある、「人によく思われたい」や「見栄を張りたい」をテーブルの上に出されて鑑賞されているみたいでムズムズ、モヤモヤします。その感覚を楽しむ作品だと思います。
引き篭もりにちょっかい出す岬ちゃんにも問題が
岬ちゃんは天使という感じで序盤は話が進みますが、この作品は割りとリアリティ重視です。そんな美少女が何もないのに引き篭もりニートの佐藤を構うわけがありません。
登校拒否の岬ちゃん
彼女も実は高校でうまくやっていけてないという背景があります。自分の存在を確かめるために「弱者に手を差し伸べる」という行為を必要としていました。「そんな私は特別、だから高校でうまくやっていけないのは、私が特別すぎるから」という逃避のためです。
引き込まれる序盤、迷走する中盤
引き篭もり描写と岬ちゃんの可愛さで序盤はグイグイ引きこまれていきます。中盤以降登場人物が増え少し迷走していく気がしました。
とはいえ最後は綺麗にまとまったと思います。
頑張って働けよ佐藤。応援してるぜ。
-角川書店 「NHKにようこそ!」 漫画:大岩ケンヂ 原作:滝本竜彦-