お伽話がモチーフの漫画最近多いな 【レビュー】ピーチプラック 木村勇治 読み切り 週刊少年ジャンプ2014年17号

突如発見された古い日本の生活そのままの島

いきなりグッと来る設定から始まる読み切り作品です。。

江戸時代風の生活様式をしている人たちの島が本州から100kmほど離れた太平洋に見つかります。東京から静岡まで200km程度なので本州から100kmというのは結構近いです。そんな近いところに今まで発見されていない島があって、その島の生活様式が中世日本のままです。そしてその島には子供しか住んでいないというのです。

民族伝承などの怪奇譚的物語か?

物語の設定から民族伝承などが絡むホラー的な作品かと思い読み始めました。しかし意外と普通に主人公の学園生活が始まります。主人公は典型的な山から人里に急に出てきた的なキャラクターですが、その性格付けの表現方法が新しく面白いです。都会的な便利なものに過剰反応して島から出てきた感を演出するのは新しいと思います。新鮮な面白さがありました。

細かな伏線と回収の鮮やかさ

凄くよくまとまった作品だと思いました。理解できない部分もないし読みにくい部分もない。最初から出てくる細かな設定がラストに向けての伏線になっていて、よく出来ているなあと思いました。特に登場人物の名前が魅力的且つ、実はストーリーに関係するものであるところはちょっと唸りました。特にヒロインの桃源郷(もももと あきら)という名前は音的なかわいさがまず魅力的であり、更にストーリーに繋がる巧妙な仕掛けでもあり非常に良く出来ていると感じました。ピースがパチッとハマる爽快感がありましたね。

主人公の名前は御手洗あずき

このあまりカッコよくない主人公の名前も意味が込められています。読者に少し気づかせながらビックリとヤッパリを同時に与える仕掛けには見事にハマりました。

それで戦えるのか?主人公の特技

主人公の特技というか特性というか、そういったものがあるのですが、それが非常に非戦闘的なもので、それで戦えるのか?と当初、疑問に感じました。最終的にその変な特性を利用してうまくいくのですがアイデアが中々面白かったです。結末から逆算で考えた設定なのか、設定に合わせて仕掛けたラストなのか気になります。

連載になったら?

もし週刊連載になったらバトル部分は毎回アイデアに苦しみそうですね。逆にどんなアイデアが出るのか見てみたい気がします。作中、キーアイテムのように「砂時計」が何度も出てくるのですが、特に触れられる事なく物語は終わってしまいます。描かれていない伏線が沢山ありそうです。世界観が非常に広がりのある作品で楽しく読めました。

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