龍はいつも戦術理解が一番
この作品の特徴的な部分として戦術の細かい描写があると思います。そして主人公が最も戦術理解が高いというのも特徴です。試合の中で苦境に陥ると龍がチームの戦術や状態を理解して動きに変化を付けます。この時に特別なテクニックや身体能力は使いません。とにかく戦術的に良いポジション取りだったり、パスだったり、地味なプレーでまず流れを変えます。ここが今までのサッカー漫画と大きく異る部分だと思いますね。ある意味ジャイアント・キリングには似ているかもしれません。
チームが圧されている時は普通は個人技で打開
従来のサッカー漫画ではチームが圧されている場合は通常個人技で打開しました。そこが主人公や主要キャラの見せ場でした。また、細かい戦術を描いても読者に伝わりにくいという問題もあったでしょう。しかしBE BLUES!では戦術をしっかりと描いています。実際には、ここ数年で読者のサッカー戦術の理解が深まったのだと思います。日本サッカー界のレベルが上がったから、こういったマニアックな戦術を多用するサッカー漫画が登場したと言えます。
戦術での打開=知恵と努力の結晶
もともと一条龍はサッカーを良く知っている少年でしたがテクニックもずば抜けていました。しかし事故によって、そのテクニックを失いました。だから彼は頭脳で勝負するようになったのです。今の自分の出来る範囲で最大限の結果を出すというのが彼のスタイルで、それが才能でなく努力によって培われたモノだという事が、龍の戦術理解の高さを通して分かるので感動的です。龍はサッカーが出来ない期間に、相当サッカーの戦術について勉強したんだと思います。彼は引退してもいい監督になりますね。
龍の戦術へのアプローチをより際立たせる桜庭という存在
超絶テクニックを駆使する戦術無視の桜庭は、龍の戦術眼を目立たせる意味で非常に重要なキャラクターです。彼が従来のサッカー漫画の主人公のようにテクニック一発で局面を変えるのが、龍とのコントラストになっていて、どちらも活かすうまい演出になっています。また桜庭の出番が基本的に少ないのは彼のテクニック重視という特性にも関係しています。
桜庭は出番が少ない宿命
二つの理由があります。
一つ目、彼があまり活躍すると従来のサッカー漫画と同じような肌触りになってしまうので、作品の存在価値を守るためにもあまり登場させられない。
二つ目、説明の必要な戦術の描写よりもテクニック一発の方がページ数が少ないので、戦術に参加できない彼は必然的に登場ページ数が減ります。彼は戦術を無意味にするくらいのテクニックの持ち主なので、戦術を細かく描くようなシーンでは邪魔者になります。
優人とかコーメイは、だから良く出る
彼らは、戦術の中で活躍するタイプですから、登場回数が多くなります。
最後は主役である一条龍の個人技で決まる試合は多いのですが、この作品は戦術サッカー漫画と位置付ける事ができます。