読者の心の中を少しエグる。うー、ムズムズする。 【レビュー】 聲の形 第37話

誰でもあるだろう。知られたくないこと

最近はずっと将也中心の話しですね。今週は将也は、自分が過去に硝子をイジメていたことがみんなにバレることを恐れて、不安になっています。こういう、人に知られたくないことっていうのは人間だれでもあるものです。もちろん、誰もが、ここまでドラマチックな人生を送っているわけじゃないので、そんなに大きなことじゃなかったりしますが、言われるまで気が付かないような小さなこと。でも、みんなに知られた後に「あ、それ、あんまり知られたくなかったな」という程度のムズムズするやつ。なんか、そういうところをエグル感じでした。

将也が隠したい過去は重大?

彼は硝子を相当にイジメてましたから、正義感の強い真柴君から見れば、もう本当に許せない存在かもしれません。しかし、将也と硝子は、今は仲直りしたのです。しかも小学校の頃の話です。そして将也はイジメた側なのです。普通イジメっ子は、「子供だったから仕方ない」くらいに考えて開き直ってますよ。未だに後悔し続ける将也は誠実だと思います。だからこそ、硝子は将也を許し、結絃ですら彼を認めたのだと思います。だから、真柴くんだって、永束くんだって、そんな軽蔑するようなことはないと思いますが。でもまあ、真柴くんは、なんか目が怖いんだよな。

映画がロールプレイのように

心の傷を癒やすために、辛い過去を演劇のように再現して、自分で演じる治療法があると聞いたことがあります。過去の救いのなかった自分を演じることによって、自分を客観的に見れるようにしたり、気持ちに整理をつける効果があるようです。来週からは、そういった展開になるのでしょうね。将也の心が開放されるときはくるのでしょうか。

とはいえ、将也を好いてる西宮

英語教師、夏目漱石は、「I love you」を、「あなたを愛してます」と訳した生徒に向かってこう言いました。そこは、「月が綺麗だ」とでも言っておきなさい。たまに、これをモチーフにして、告白に月が使われる作品があります。
西宮は、将也に告白しました。しかし彼女は発音がちゃんと出来ません。それで、「うきぃ」とか「つきぃ」とか言ってしまいます。本当は好きと言っているつもりです。やはり愛を告げるときには、月なのかと。奇しくも漱石のようです。いや作者の狙いかな。
それはともかくとして、彼女は将也を好いているのです。たぶん、彼女と結ばれれば将也の心の傷は癒えるでしょうね。一生かけて彼女を幸せにすればいいわけですから、前向きに努力すればいいだけです。
おそらくは、それが、この物語の最後で、それほど先じゃないように感じます。