男は50歳まで夢を追いかける。女は30歳までしか待てない。 【感想】 ベイビーステップ Baby Steps 第301話

プロにこだわる浅野と彼女

彼は35歳でプロにこだわり続けています。普通に考えたら出来るかぎりやったらいいですよね。テニスは夢なんだろうし、どうせいつかできなくなるわけですから、できるかぎりは、どこまでもやってほしいです。でも、これは男の考え方ですね。

現実的な選択を望む彼女

浅野の彼女は彼に現実的な職についてほしいと望んでいます。そうでなければ結婚できないと。たとえばコーチなどのオファー来ているようで、それを受けて欲しいと思っているわけです。しかし彼は、プレーヤーとして、まだ挑戦したいわけです。現時点でプレーヤーとしての自分を続けたい彼と、安定した職についてほしい彼女との間でギャップがあります。
しかし、テニスプレーヤーを永遠と続けられるわけではないですから、引退して安定した職につくときは必ず来るわけです。ただ、それが今なのか、10年後なのかわからないということです。

待てない彼女と、待てる彼氏

男は、自分が満足するまで夢を追いかけたいと思っています。その結果、40歳、50歳で貯金もなく安定した職がなくても満足です。中途半端で止めたら逆に後悔します。だから彼にとっては生活がギリギリでも出来る限り続けるが正解です。

しかし女性は違います。彼女はいま直ぐ安定した生活が必要なのです。これが男は理解できません。
浅野の彼女の年齢はちょっとわかりませんが、付き合って7年ということなので、少なくとも彼女も30歳は超えていると思います。そういう前提で彼女がいま直ぐ安定した結婚をしなければいけない理由をあげてみます。

1、親などの周囲からのプレッシャー
2、早く子供を産まないと高齢出産になってしまう
3、加齢による容姿の変化(しわとか)

女性のがまったなし

上の3つで、男が気にするのは周囲のプレッシャーくらいです。それも女性に比べたら遥かに少ない。なぜなら、2番目と3番目がないからです。

出産できる年齢は最近かなり幅広くなってきたとはいえ、やはり適した年齢というものがあります。男の場合も同じですが、時間の幅がまったく違いますね。60歳、70歳で子宝に恵まれる男性も少なくありません。
そういった部分で、男は30歳か40歳か、そこの10年がそれほど重要ではありません。自分の夢を追求することに対するリスクになりません。

さらに残酷なのが加齢による容姿の変化ですね。シワが増えたりすると、自信も失い、もし彼に捨てられたらと不安になります。美しいうちに、できるかぎり安定した生活を手に入れて子供を産みたい。それが女性特有の欲求です。全部の女性というか、浅野の彼女はたぶん。

男は自分の道で成功すれば全部満足

女性に比べて、男がまったくそういった考えがないかと言ったら、少し違います。ただ、同じことを感じ始めるのは男の場合10年以上は遅いですね。女性が25歳で感じることを男はようやく35歳くらいで感じはじめます。この危機感のギャップが、夢追う男に女がイラ立つ原因です。ちなみにぼくは20年は遅いので嫁さんにはいつもムカつかれてます。

じゃあ、浅野の彼女はどうすればいいのか?

まあ、彼女はもう浅野の生活力を頼りにしないことですね。自分で働いて、働きながら自分で子供を育てる。浅野は好きなだけテニスをやらせてやる。彼くらいテニスに打ち込んできた人間なら、テニスは一生涯できる仕事なはずですから、70歳になっても80歳になってもコーチの仕事ができるかもしれません。若いうちは大変だけど、今、妥協して安定した生活を手に入れるよりも幸せになれると思います。生涯収入で言えばプラスになる可能性が高いです。

夢を人に中断されると、男は腐る

追い切れなかった後悔は変な方向に出ることもあります。女、ギャンブル、酒、変な妥協は男を腐らせます。そうならないために本人が満足するまでやらせることです。
最終的には、浅野のテニスに納得して自分が努力するか、すでに安定している、あるいは成功している男を探すしかないですね。自分が変わるか、別の人を探すか、相手を変えようとしてもロクなことにはなりません。彼をフッても大丈夫です。彼は、それを糧にしてもっとがんばりますから。夢に向かって必死な男ってのは魅力的なもので浅野みたいなイケメンならなおさらすぐに彼女ができます。だから女性は自分がどうしたいかだけを考えたらいいですね。彼は、全然だいじょうぶ。

人間が良く描けてるなと感心

で、結局何が言いたいかというと、この作品は、そういった人間の機微がよく描けているなということです。現実に作者の身近にそういう人がいたんでしょうかね。ベテラン熱血プレーヤーと、その彼女。テニスと同様リアリティありすぎです。