最近マガジンはコミュニケーション追求路線か? 【感想】 お友達から 作者:長門知大 読み切り 週刊少年マガジン 2014年29号

最近マガジンはコミュニケーション追求路線か?

聲の形がコミュニケーションを追求した作品で、いままでにない少年マガジンの新しい地平を切り開いていますが、今回の読み切り作品は、その方向性の作品です。もちろん、障害とかイジメとかを安易に描いているわけじゃなくて、作品の根底に流れるものが似ているというか、同じテーマというか。要するに「人間関係」と「心」を描いた作品です。

人付き合いがうまい男子となんでも本音な女子の物語

対人スタンスが180度違う二人がお互いのコミュニケーション手段に感化されながら、本当の自分の心と向き合っていく物語です。100%建前人間の男子と100%本音人間の女子。実は、普通人間ってどっちかが100%っていうのはないですね。これはある意味、一人の人間の心のなかの葛藤を、それぞれ別の人物として具現化して物語化したものです。作者がそういった意識で作ったとしたら、そうとうなものです。

よく心の中で天使と悪魔が戦う表現があるじゃないですか

あれと似たような感じで、戦ってるのは本音とタテマエ。で、心の中じゃなくて、現実で別人格の人間で存在しているような物語。男子の気持ちも女子の気持ちもすごくよく分かるのは、誰にでも存在している心の動きを丁寧に描き出しているからです。

連載とかだったらどういうふうにするんだろう

作者の長門さんはかなりの才能があると思いますが、こういう物語の方向性で連載になったらどういう物語になるのでしょうか。今回の読み切りで話しに無駄がなく非常によくできてるんですね。どうやったって間延びした感じになってしまうと思うんですけど、面白く調理して連載して欲しいですね。最後の男子の「叫び」は最高でした。涙出ましたね。ああいうのに弱いんです。ちゃぶ台返すぜ俺だって。