サボ、かっこいいなあ
今週はメラメラの実を食べたサボが少し海軍とバトルします。もちろん、メラメラの実のかっこよさは、エースが散々見せてくれたので、能力バトルがカッコイイというわけじゃなく、サボの立ち振舞い、言葉の一つ一つがカッコイイのです。エースが死に、ルフィの心にポッカリと穴が開いてしまったように、多くの読者にも大変な喪失感がありました。エースの復活というワードが相当に検索されていることからもわかりますし、今も生存説は根強いです。ある意味、サボの存在はエースの復活と似たような効果があります。これはエースを作中で殺すときから、その喪失感を別の兄弟で埋めるという計画があったのでしょう。これは、尾田栄一郎の壮大な実験なのでしょう。たぶん。
で、なんだろう。このセリフ回しのカッコよさ
もうサボは見るたびに好きになっていくキャラクターなんですが、今週はなおさらです。イッショウとの会話がカッコよくて最高でした。その中で、出てきた彼のセリフが、あまりに男臭くて、やられました。
エースを失ったサボはルフィだけは失えないという重大な決意があります。これは彼にとっては非常に大きな決意で、ルフィを助けに来た今この瞬間は、特に、そのことを考えているはずです。イッショウと、その話になりそうになりますが、イッショウは、
”これ以上の質問はヤボな様だ…”
と言って、深くは追求しません。
そこでサボは、
”-どうせ興味はねェだろ?”
と、ニヤリと笑って戦いを続けます。
ここの男らしさに、惚れ惚れしました。
どういうことかというと、人間って誰しも、自分の心を語りたいんですね。自分はこんなに困ってるとか、こんなに悩んでるとか、こんなにいい人だとか、口を開けば自分のことばかり。それが普通の人間です。そして、相手が自分の重大な問題に興味がなかったりすると失望するわけです。
「ぼくは、こんなに大変な問題に直面しているんだから、あなたは共感するべきだ」なんていう気持です。
これって、とても甘っちょろい考えだと思うんですね。「自分の問題を他人も同じように、大問題として捉えてくれるはず」というのは、非常に甘ったれた話で、相手が共感してくれないと逆上したりするわけです。で、人間は誰しも、こういった部分があり、自分のことに興味がない人間を許容できないわけです。
サボは違います。自分のことに他人が興味がないことなんて、わかりきっていて、そこに対して、なんの感傷ももちません。
興味を持たれないことを屁とも思わない強靭なメンタリティーがあります。こういう図太さがあれば、社会でどれほど生きて行きやすいでしょうか。
ようするに無視されようが、なんとも思わないという図太さです。世の中は人の目が気になって仕方ない人間ばかりですから、サボの台詞は鮮烈に響きます。
そういう男の中の男をさらっと見せてくれるのが、やっぱりワンピはすげーなと。
うーん、あまりにかっこいい。
””は、集英社「ONE PIECE」 作者:尾田栄一郎から引用